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神戸地方裁判所 昭和58年(わ)587号 判決

裁判所書記官

石川芳郎

本店所在地

神戸市西区岩岡町古郷二一四番地の二

安福ゴム工業株式会社

右代表者代表取締役

安福玉雄

本籍

同市西区岩岡町古郷一二九番地

住居

同市同区岩岡六五三番地の三

会社役員

安福玉雄

大正三年一二月二一日生

右両名に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官黒田修一及び弁護人中尾英夫出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人安福ゴム工業株式会社を罰金一、三〇〇万円に、被告人安福玉雄を懲役一年にそれぞれ処する。

被告人安福玉雄に対しこの裁判の確定した日から二年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人安福ゴム工業株式会社(以下、「被告法人」という)は、神戸市西区岩岡町古郷二一四番地の二に本店を置き、各種工業用ゴム製品の製造販売業等を営むもの、被告人安福玉雄は、被告法人の代表取締役として業務全般を統轄しているものであるが、被告人安福は、被告法人の業務に関し、法人税を免れようと企て、

第一  昭和五四年六月一日から同五五年五月三一日までの事業年度における所得金額が二、三三二万三五六円で、これに対する法人税額が八三一万円であるにもかかわらず、架空の仕入れを計上するなどの行為によりその所得の一部を秘匿した上、同五五年七月三一日、兵庫県明石市中崎一丁目六番一六号所在の所轄明石税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が六五三万六、〇一二円で、これに対する法人税額が一六九万四、一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、右事業年度の法人税六六一万五、九〇〇円を免れた

第二  同五五年六月一日から同五六年五月三一日までの事業年度における所得金額が一億二八九万九、七一七円で、これに対する法人税額が四、一九三万三、〇〇〇円であるにもかかわらず、架空の仕入れを計上するほか、売上げを除外するなどの行為によりその所得の一部を秘匿した上、同五六年七月三一日、前記明石税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が一、〇〇六万五、六六六円で、これに対する法人税額が三〇二万八、八〇〇円である旨の虚偽の法人税解定申告書を提出し、もって不正の行為により、右事業年度の法人税三、八九〇万四、二〇〇円を免れた

第三  同五六年六月一日から同五七年五月三一日までの事業年度における所得金額が五、九四八万八、二二二円で、これに対する法人税額が二、三六二万七、四〇〇円であるにもかかわらず、架空の仕入れを計上するほか、棚卸しを除外するなどの行為によりその所得金額の一部を秘匿した上、同五七年七月三一日、前記明石税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一、〇三三万九、四七一円で、これに対する法人税額が三〇六万一、五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、右事業年度の法人税二、〇五六万五、九〇〇円を免れた

ものである。

(証拠の標目)

一、被告法人代表者兼被告人安福玉雄(以下、「被告人」という)の当公判廷における供述

一、被告人の検察官及び収税官吏(四通)に対する各供述調書

一、証人安福重人の当公判廷における供述

一、安福忠昭、安福重人の検察官に対する各供述調書

一、藤岡豊、柳澤弘二、野間明、堺井昭武、安福忠昭(二通)、安福重人(一〇通)の収税官吏に対する各供述調書

一、収税官吏作成の査察官調書一八通

一、収税官吏作成の脱税額計算書及び確認書綴(各三通)

一、明石税務署長作成の証明書三通

一、神戸地方法務局登記官作成の登記簿謄本

一、安福玉雄作成の証明書

(法令の適用)

一  罰条

判示第一の事実につき昭和五六年法律五四号による改正前の法人税法一五九条(被告法人につき、更に同法一六四条一項)

判示第二及び第三の事実につき法人税法一五九条(被告法人につき、更に同法一六四条一項)

一  刑種の選択

被告人安福につきいずれも懲役刑選択

一  併合罪の処理

刑法四五条前段

被告法人につき同法四八条二項

被告人安福につき同法四七条本文、一〇条(最も重い判示第二の罪の刑に加重)

一  執行猶予

被告人安福につき刑法二五条一項

そこで、主文のとおり判決する。

(裁判官 小林充)

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